院長ブログ

四つ葉のクローバー
宇都宮市竹林、よつばハートクリニック院長のブログ

平和について

0

    南スーダンにPKOで派遣された陸上自衛隊の日報の存否を巡っての防衛大臣の発言に、自衛隊内部からも異を唱える者が出てきた。大方の予想通り隠蔽を了承していたというものである。どうしてここまで出鱈目な発言を繰り返す人が更迭されないのか不思議だ。他の失言大臣はもう少し速やかに退いているのにこの人だけ異様に守られている感じがする。そもそもは紛争地域に軍隊を派遣したら戦闘が起きたということである。林間学校にカッパを準備して持っていったら雨が降って使う羽目になったとういのと同じ確率事象だ。ここで自衛隊の存在そのものを議論するつもりは毛頭ないが、どう考えたって現行の憲法では赦されないことをやっている。それを紛争地帯かどうか、衝突か戦闘かなどと言葉遊びのような話が続く▼18日、聖路加国際病院の日野原重明先生が亡くなった。105歳だった。医師や教員、議員などが同業者を先生と呼ぶのは一般の人の感覚からすると嫌な感じがすることもあろうが、やはりそう呼ばせていただく(何かを直接教わったことがある訳ではない)。私が先生を付けて呼びたくなるのは、他に指揮者の故・朝比奈隆先生、将棋の加藤一二三先生ぐらいか。何れも高齢になるまで同じことをエネルギッシュにやり続けたという点で共通している。その日野原先生、凄いのは東京大空襲とよど号ハイジャック事件(乗客として)、地下鉄サリン事件の3つを経験しているということ。そして著書や寄稿、講演などで繰り返し訴えたのは平和の大切さと今の憲法を護ることの必要性についてである▼この仕事をしていると人の命の重さを日々痛感する。時々押しつぶされそうにもなる。幸せな一家が一人のひとつの病気でどん底に陥るのを数々見てきた。今の日本の見かけ上の平和もほんの少しの綻びから破れるかもしれない。戦争で、戦場で起きることは人命の軽視でああり報復の連鎖だ。この国の今の政権は戦争をやりたがっているとしか思えない。異を唱える者は監視し排除されるシステム・法律が既に出来上がっている▼医療の世界は試行錯誤の積み重ねだ。こうすると人が助かるということが明らかになる背景には多くの犠牲が隠れているのである。大事なことは失敗を先生として学ぶということ。歴史という先生からも学ばなくてはならない。そして似たようなことが起きないようにしなければならない。世の中のひとつひとつが前回の戦争の少し前の日本と似ているような気がする。また歴史の生き証人が一人この世を去った。


    アートの世界

    0

      七夕の朝、長く拝見した慢性心不全の女性が亡くなった。85歳だった。最初からすると10年ぐらいになるだろうか。沢山診ている患者さんの中で大事とか大事でないとかがある訳ではなく、皆大事なのであるが、特に思い出に残る患者さんの一人であった。とにかくよく喋るし、食べるのも大好きな人だった。`私はね、この先生じゃなかったらもうとっくにこの世にいないの’ などと周囲の患者さんに吹聴するものだからちょっと気恥ずかしかった▼病を得るという。別に欲しくて貰うわけではないから変な表現であるが、人間はこの病を得てからが真価を問われるのではないかと思ったりもする。果たしてこの方は考え方がポジティブであった。いろんな失敗をしてその度に入院したり指導されたりするのであるが、どこまでも明るく前向きに対処する。そして周囲に対する感謝の気持ちを忘れない。病気からして食餌や塩分・水分などにも可哀そうなくらい制限がつくのであるが、ちょっとだけ許可された寿司などを本当に美味しそうに食べたという▼`先生の患者さんてみんな長生きですよね’ と元いた病院のスタッフに言われることが時々ある。特段これといった決め手みたいなものがある訳ではない。この薬よりよく似てるけどこっちの薬のほうがほんのちょっといいとか、1日の飲み水をあと200cc増やした方がいいとか、ほんの少し運動が足りてないとかそういう細かい調節の集大成だと思う。そしてこの作業は患者さんの生い立ちや性格、受けた教育、職業などに影響を受けるのでコミュニケーションはとても大事である。カッコつけすぎかもしれないが一種のアートだと思ってやっている。しかし最後にはどうにも筆の入れ場所がなくなってしまうものである▼この方のご主人もかつて冠動脈にステントを私が入れた患者さんだった。今はそっちの方が多少進んでしまって別の病院にお住まいになっている。ご子息によると病院から出てきて葬儀には参列されたんだそうである。応対もそれなりにちゃんとした。ところが後日病院に行ってみると ‘ばあさんはどうしてるかなぁ〜’ と言ってたと。面倒くさいからまだ生きていることにしたんだそうな。描いたとおりに描けてないのもアートであるが、趣のある絵になっている。


      ポリファーマシー

      0

        開業して10ヶ月、様々な方をご紹介頂く。第1の医院で13種類!、第2のクリニックで6種類の計19種類の処方(内服薬だけでである)を受けている患者さんがいた。これをみて驚いた第3のクリニックの先生から整理するように仰せつかった。第1の医院では血圧の薬が3種類出ていたのだが、うち2つはカリウム値を上昇させる作用があり、第2のクリニックではカリウムを下げるための薬が処方されていた。この薬の副作用は便秘とお腹の張りであるが、第1の医院では便秘薬と消化薬、お腹を動かして張りをとる薬が処方されていた。一方第2のクリニックでは不整脈と動悸が副作用としてある脳梗塞の薬が出ていたが、第1の医院では不整脈の薬と動悸を鎮める薬が処方されていた。お安い御用である▼藪医者の語源には諸説があるが、見通しが悪い・見通せないというのも有力である。患者さんに何か言われればそれについての見通しを示さなければならないのが我々の職業であるが、何か言われる度に薬を処方して対処しているうちにこんなことになってしまったのだろう。気持ちは判らないでもない。世の中医者と製薬会社ほど恐ろしいものはない。みなさん医者に何かを訴えるときは慎重に▼多く薬を処方する・処方を受けることをポリファーマシー(polypharmacy)という。患者さんの家に死蔵されたり廃棄されたりする薬が年間500億円分にも及ぶという試算もあり、6種類を超える薬剤の処方箋料は安くなるなどの対策も取られているが、根本的な解決にはなっていない。むしろ多くの分野に跨って縦断的に総合的に診療しようとする医者はこれでは損である。そもそもなぜ薬を飲むかというと\弧人集紊延長するから(長生きにつながるから)、∪験茲亮舛向上するから(つらいのが良くなる)のどちらかでなければならない。ただ血圧が高いから血圧の薬を出す、胃が悪いから胃の薬を出すというのが多すぎるし、有害事象に目を向けずに鎮痛剤や睡眠薬を長期に亘って処方するのもどうかと思う▼向精神薬なども含めて様々なポリファーマシー状態の患者さんに出会うが、ひとつひとつ丁寧に薬を剥がして行くとあらスッキリということも多い。冒頭の患者さんも6種類ぐらいの薬にして差し上げたら喜んでいた。ありきたりだが‘Simple is best.’である。


        ウナギおいし♪

        0

          好きな食べ物を1つだけ上げろと言われればそれは鰻である。即答である。妻の好物でもあるが、美味しい肉よりも不味い鰻を選ぶと言ったら変な顔をされた。その鰻も最近滅多に食べられない。塩分(肝吸い付で10gぐらいはあろうか)やカロリー(味醂・酒・砂糖がかなり手伝っている)も気になるが、絶滅の危機にあるという点も大きい。自分一人が食べるのを我慢したからと言って絶滅の回避にはならないのは理屈であるが、我ながらやはりウナギを愛するが故であろうか▼2009年当時東京大学教授だった塚本勝巳らによってウナギの産卵場所がほぼ特定された。マリアナ諸島西海域の水深150-200mのごく狭い範囲らしい。従来川で10年ぐらい生活して降海して産卵するものと考えられてきたが、実際には海で一生暮らすものが4割、汽水域で生活するものが4割、淡水で暮らすものは2割ぐらいということが判ってきた。不思議な生き物である。環境破壊や大きすぎる漁獲圧の影響を受けやすい。流通量の99%は養殖であるが、元となるシラスウナギは今のところ100%天然である。ウナギの完全養殖は技術的には達成されているが、そのままだとほとんどオスになってしまうとか、エサの問題などもありコストがまだ合わないらしい。もう少しの辛抱か▼鰻と言えば将棋の加藤一二三 九段を思い出す。‘ひふみん’の愛称でバラエティー番組などにも出ており、様々なエピソードに事欠かない人である。昨日ついに連勝が29で途絶えた藤井聡太四段の最初の対戦相手でもある。14歳7ヶ月で棋士になり(今回藤井四段が14歳2ヶ月で更新するまでの最年少記録である)、この度77歳で引退するまでの62年10ヶ月間プロ棋士であり続けた。1180敗というのも歴代最多らしいが、それだけ長く活躍したということだろう。その加藤九段、対局日昼に注文するのが鰻重で夜がまた鰻重と云う。インタビューに答えて曰く昼は鰻が2枚入ったものを注文し、夜は対局が深夜に及ぶことに備えて3枚だそうである(料金は自腹である。念のため)▼私の医師としてのキャリアはこの半分にも満たない。塚本教授にしろ加藤先生にしろ‘執念’という言葉を通り越して神々しさすら感じる。辛いだの疲れただの言っていられない。少し力が湧いて来た。


          春望

          0

            やらなければならないことは沢山あるのだが、疲れてしまって日曜日の朝から寝転がって久しぶりにテレビを見ていた。一週間のまとめ的な番組をやっていて耳をつんざく様な女性のカナ切り声が聴こえ、ウトウトしていたが目が覚めた。‘このハゲーーー!’ である。‘ち・が・う・だろ、ちがうだろー!’ と続く。リズミカルだなと妙に感心してしまう。言うまでもなく女性の衆議院議員(マズい マークが似ている・・・)が男性の秘書に暴行を働いて問題になっている件である。「あれはたまたま彼女が女性だから、あんな男の代議士なんかいっぱいいる。あんなもんじゃすまない」などと余計なことを言って直ぐに撤回する羽目になる人もいる。頭の悪い人はどこまでも頭が悪い▼不思議なのは今まで数十人(100人超?)の秘書が辞めているというモンスターのような人が当選を繰り返していることである。周辺にはおかしいと思っていた人が多数いた筈である。何故情報が伝わらないのであろうか▼医療ミスや不適切な医療行為を繰り返していたとして、2016年度までの4年間で、27人の医師に再発防止が指導・勧告されていたことが日本医師会(日医)のまとめでわかった。医師が所属する都道府県医師会が勧告などを出している。こうした医師は「リピーター医師」と呼ばれる(朝日新聞報道)。医師の名前は明らかになっていない。手術死亡率が突出して高い大学病院医師などが報道などで問題になることがあるが、これとて周辺におかしいと思っていた人は大勢いたと思われる。自浄能力がないという点でこれらの問題は共通している▼頭の薄い連想から杜甫の「春望」を思い出した。果てしなく暗い詩である。未来は混沌としている。これでいいはずがない。


               国破山河在     国破れて山河在り
               城春草木深     城春にして草木深し
               感時花濺涙     時に感じては花にも涙を濺ぎ
               恨別鳥驚心     別れを恨んでは鳥にも心を驚かす
               烽火連三月     烽火三月に連なり
               家書抵萬金     家書萬金に抵る
               白頭掻更短     白頭掻かけば更に短く
               渾欲不勝簪     渾べて簪に勝えざらんと欲す

             


            ねずみ狂

            0

              医療の分野は略語が多い。循環器内科の分野は特にであり、研修医も指導医が言っていることが判らずに苦労したりする。‘ER(救急室)にMI(心筋梗塞)の患者が来てるから、IC(説明して同意を得る)してPCI(カテーテル治療)するから準備して。DAPT(ダプト;抗血小板薬を2剤投与すること)行くの忘れないでね。’ ‘pAfって(パフって;発作性心房細動になって)デコってる(decompensation;代償不全 この場合心不全を起こしている意)からレート(heart rate;心拍数)下げて。’ ‘SAS(サス;睡眠時無呼吸症候群)っぽいからPSG(終夜睡眠ポリグラフィー)して必要ならCPAP(シーパップ;持続陽圧呼吸療法 PPAPじゃない あの人どうしたかしら?)導入しといて。’ 逆に知らない略語を若手の先生が使っていても知らないとは言いづらくて後でこっそり調べたりする▼‘TDL/TDS’  はて? 東京ディズニーランド/東京ディズニーシーの事だそうだ。今度新しくうちのクリニックに入った事務スタッフはかつて働いていたことがあるという。その話をもう一人のディズニー大好きスタッフが嬉しそうに聴いている。ショップで働くのにレジ打ちの研修が3カ月!そこまでで8割が辞めるそうである。確かにブラック企業/オリエンタルランドでググってみるといろいろ出てくる。別にブラッククリニック化するつもりはないが、根性があるのだろう。期待してます▼私?もちろん好きではないが、家族につきあって随分と行った記憶がある。お父さん、なんでここに来てそんなにつまんなそうな顔をしてるのと咎められる。嫌々そこにいて冷めた目で見ていると宗教にしか見えなくなってくる。世界ねずみ教 千葉浦安支部である。断じて東京ではない。入り口で高額のお布施を納めて、中でも色々な名目で納める。様々な施設を優先的に拝観するお札を取りに奔走しなければならない。教祖様のお宅はご在宅の折には長蛇の列である。教団関連宿泊施設にも泊まったことがある。食堂でお食事を頂いていると教祖様が奥様を伴ってお見えになられた。続いて教団幹部の皆様も・・・・・・・どなたからもお言葉は頂けなかった▼人間が入っているわけではないことになっている???パレードで熱中症になって搬送される際にも信者たちの前では被り物を脱がせてもらえないというのは本当だろうか。彼女が働いていたのは‘灰かぶり姫城’だそうである。


              働くって

              0

                加計学園問題について記者の質問に答える官房長官の姿は憐れの一言に尽きる。自分でも滅茶苦茶なことを言っている(言わされている)という認識があるのだろう。文部科学省の役人たちもまた憐れである。苟も教育を司る省庁である。間違ったことをした時には直ちにそれを詳らかにして謝罪しなくてはならない(ということを教えなくてはいけない人たちをさらに監督する立場にある)。政権与党が人事に関与できる構造になっている(なったのはここ数年のことらしい)ことに問題があるのだろう。NHKもまた然りであり、政権に縛られている。ガッテンなどという下らない番組(真に受ける患者さんが多くて困っている)を作っている暇があったら、本当のことを報道してほしい。民主主義の弊害は多数が正義に勝ってしまうということであるが、日本はそれ以下の非常に危険な状態にあるのではないか▼文科省にもNHKにも忸怩たる思いで働いている人は大勢いるだろう。働くっていったいどういうことだろうか。自分は社会に必要とされているのだろうか▼クリニックを開業して大きく変わったことがいくつかある。救命センターで救急車で運ばれた人を診るあの高揚感はなくなった。人の役に立っているという実感が直にあったし、体力が続くならもう少しやっていたかった。それから変わったのは人に雇われる側から人を雇う側になったことである。このことについては開業前に先輩諸兄から種々の忠告を受けてきたが、思っていたよりずっと難しい。また様々な業者とも取引をするようになったが、この担当者もいろいろである。こちらの期待したことをやってくれない人、そこそこ期待通りの人。望んでいる以上のことをしてくれたり教えてくれたりする人に会うと安らぐし嬉しくなる▼大きな病院の循環器内科に長く所属していたが、そればっかりをやってきたわけではない。一人一人の患者さんの抱えるなるべく多くの(できれば全ての)の問題に対峙しようとしてきたつもりである。うまくいかないことも多々あったし、中には恨みに思われているケースもあったかもしれない。クリニックの運営は勿論経済活動ではあるが、それを超えたところで正直に自分の色を出してやっていきたいと思っている▼面白い動画を人から教えてもらった。安住紳一郎というアナウンサーが日曜日のラジオ番組でやったものらしい。なかなか含蓄がある。


                コミュニケーション

                0

                  40代後半の男性。営業職、働き盛りである。何年も前から血圧高値と耐糖能障害を指摘されていたが放置していた。喫煙20本/日、ウイスキーダブル2-3杯 7日/週。今回健診心電図で不整脈を指摘され近医受診後紹介により来院した。血圧160/100mmHg、持続性心房細動である▼‘なにか症状はありますか?’ ‘ありません。会社の医務室が行けってうるさいから来ました。’ ‘タバコはやめないんですか、やめろって言われませんでした?’ ‘言われました。でもストレスもからだに悪いでしょう? タバコはストレス解消です!’ ‘いびきはかきますか?’ ‘かきます。うるさいってよく言われます。この前妻に呼吸が止まってるって言われました。’  ▼‘あなたの不整脈は一定の確率で心不全を起こすだけでなく、左心房の中に血栓ができてそれが飛んで出て行ってしまって、脳に行く血管に詰まれば脳梗塞になりますし、その他のところに飛んでいけばそこで重大なことになります。まず大事なことは禁煙です。この条件で喫煙を続けるのは、それは高速道路を逆走するのと同じぐらい危険なことです。それから心臓超音波検査で他の心臓の異常がないかどうかを調べて、24時間の心電図検査で1日の中で心拍数がどうなっているかをみます。加えて採血をして糖尿病の有無、それから高血圧の原因となっているものがないか、甲状腺機能も調べなければなりません。その上で血圧の薬を内服していただいて、心拍数を整える薬、さらに血栓ができないように血液サラサラの薬も飲んでいただかなくてはいけません。血液サラサラの薬を飲むと出血を起こしやすくなります。特に問題なのは脳出血ですが、お酒はそれを助長しますので控えましょう。最後に睡眠時無呼吸の検査をして、必要に応じておやすみの時に機械を装着して寝ることになります。不整脈については不整脈の巣になっているところをカテーテルで灼いて治療する場合があり、その際は大きな病院に入院しなければなりません・・・・・・・’▼‘さっきの初診の患者さん、検査いつ頃に入りました?’ ‘もう来ないって言ってお金だけ払ってお帰りになりました。’ (この物語はフィクションです)


                  なぜ知ってる?

                  0

                    小学生の娘が漢字練習帳を笑いながら見せてくれた。

                     

                     

                    ‘なんでパパのこと知ってるんだろぅww’  こらっ。

                     


                    出アフリカ

                    0

                      以前にテルマエ・ロマエという映画を見た。あまりのばかばかしさ(褒め言葉である)に大笑いをした。現代日本にタイムスリップしたローマ人が日本人を指して‘平たい顔族’と言った。平たいんだからしょうがないが、それにしても何故か▼20万年ぐらい前、現生人になるホモサピエンスは南部アフリカに暮らしていた。30年以上前になろうか、‘ブッシュマン(政治的正しさによりコイサンマンに改称されている)’なる映画がヒットしたが、大体あのあたりだろうか。6-7万年前にアフリカを出てそれぞれヨーロッパとアジアの方角に分かれたのだそうだ。ヨーロッパ人は数万年かけて鼻が高くなって色が白くなって高緯度の環境に適応した。ネアンデルタール人と混血したとの説が有力であるが、ヨーロッパに先に住んでいた当のネアンデルタール人自体は2万数千年前に滅びた。一方アジアの方向に向かった一群はまた別の人種と交雑があったとされる。この間も数千年ぐらいの間隔で人類の進化・遺伝的変革は起きており、そのスピードは従来考えられていたよりかなり速いらしい▼といっても生存に有利な変異が蓄積していくわけではなく、主に起きているのは負の選抜つまり淘汰である。この先、人類はどこへ向かっていくのだろうか。そして医学はそれにどのように関係していくのか。一つ言えるのは食糧の生産効率の著明な上昇によってカロリー摂取量が飛躍的に増大し、一方石油をはじめとするエネルギーを利用することによって運動量が低下し、それが相まって病気を作り出しているということ。恐らくこの状態には当面適応できないだろう。もう一つは生殖・周産期医療の発展に伴って、本来生まれたり生存したりということが困難な個体が成長しうるということ(そういう方々の人生そのものを否定するものではないことは予めお断りしておく)。このことが遠い将来、種としての存続に問題を生じさせないとは言い切れない▼当院のスタッフの一人がこの度イギリスの人と結婚することになった。おめでたいことである。しかし貴重な戦力を一人失うことにもなる。そのことに思いを巡らせていたら上のような文章になってしまった。少し疲れがたまっているらしい。しかし7万年もかけて再び出会うというのがすごい。



                      calendar

                      S M T W T F S
                       123456
                      78910111213
                      14151617181920
                      21222324252627
                      282930    
                      << June 2020 >>

                      selected entries

                      archives

                      profile

                      search this site.

                      others