院長ブログ

四つ葉のクローバー
宇都宮市竹林、よつばハートクリニック院長のブログ

ブラックペアン

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    医師になってからというもの、医療モノのドラマはほとんど見ない。理由は2つある。1つは仕事が終わった感じがしなくて気持ちが休まらないということで、これはノンフィクションでもそうだ。もう1つは、こっちの方が大きいが、殆どのドラマがリアリティーを欠いていることにある。奉行が主役の時代劇があったが、実際に奉行がコソ泥を裁くということはなかったそうであるし、刑事ものでもそうそう街中で拳銃をぶっ放すということは現実には無いわけであり、それがテレビドラマだと言ってしまえばそれまでのことだが▼さてこのところ娘がニノくんかっこいーと騒いでいて、なんだと思ったら ‘ブラックペアン’ という外科医が主人公のドラマをやっているとのことであった。誘われたのでラス前と最終回の2週に亘って家族と一緒に視聴した。案の定、突っ込みどころは30秒に1回ぐらいの頻度で出てくるが、言ったら嫌われるので言いっこナシである。ニヤニヤ笑ってみているしかない。そもそも病院というところはこんなに美男美女ばっかりいるわけもないし、手術するときはもっと血だらけになるものである。そういえば時代劇でも切られても血が出ない描写が多いが▼カエサルという名前で手術支援ロボットが登場したが、実際にda Vinciという1台2億5千万円ぐらいする器械があって、日本全国にももう既に300台弱ぐらいあるそうである。ドラマでは緊急手術をロボットを用いてやっていたが、予定手術を低侵襲つまり最小の傷口でというのが通常の使用方法だ。そもそもの開発のきっかけは戦場の負傷者を遠隔で手術するためにアメリカ軍が依頼したというものらしいから、一方的に荒唐無稽だと言うわけにもいかないが▼この春の診療報酬改定から心臓の手術についてもda Vinciによる手術が保険適応になった。尤も可能な施設は限られていて、今回のドラマの監修としてクレジットされていたニューハート・ワタナベ国際病院の渡邊剛医師が第一人者だ。何人か紹介して手術してもらったことがある(da Vinciでも)。病院のネーミングセンスが不思議な感じだが(ご自分の役職も ‘総長’ となっている)、皆さん術後経過は良い▼原作を書いたのは医師とのことである。勿論読んでないが、それにしてもこのペアンである。この使用方法が一番不思議だし現実離れしていると思ったのは私だけではないだろう。仮にありえたとしても、緊急事態の応急手当としてそういう処置をしたのなら、正直にその事実を患者とその家族に対して詳らかにするとともに、再手術の方法とスケジュールを提案すべきである。最後の最後まで突っ込みどころ満載であったが、教授が若い医師に向かって言った「そのままでいい、普通でいい。医者は患者のことだけ考えろ。救え、ただ人を救え。」というセリフだけは響いた。


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